妻が不貞行為をするケースは年々増加傾向にあることをお伝えしてきましたが、夫側が不貞行為に及ぶケースについても減少しているわけではなく、むしろ増加傾向にあります。
やはりこちらについても、近年の出会い系サイトの活性化やTwitter、Facebook、lineなどのSNS関係の充実に伴い男女の出会いの形が多様化してきたことが原因としてあるのでしょう。
では、夫側が不貞行為をした場合は妻の不貞行為を働いた場合と違う部分はあるのか?慰謝料の相場や財産分与、親権や養育費の問題について触れていきたいと思います。
1.夫が不貞行為をした場合の慰謝料の相場は?
不貞行為を働いた場合に原告側へと支払う慰謝料の相場は、被告側が夫だろうと妻だろうと差は生じません。
慰謝料の相場は不貞行為の継続性および悪質性の高さによってケースバイケースですが、裁判においては概ね50万円から300万円の範囲で判決がくだることが多いです。
男性の場合は女性の場合とは違い、慰謝料を支払うに経済力を備えていることが多いとは思いますが、それでも何らかの理由で一括の支払いが困難なときは分割での支払いを容認する形となります。
分割での支払いを認める際は、慰謝料の踏み倒しや支払い遅延などの不測の事態に備えて、「強制執行認諾約款付公正証書」を必ず事前に作成し、夫にサインさせるようにしましょう。
これがあれば、何らかの形で慰謝料の支払いが滞ったときでも、夫の財産や給与を差し押さえて補填することができます。
2.夫の不貞行為の立証には、どんな証拠を用意すればいいのか?
夫の不貞行為の証明をする場合も妻の不貞行為の証明をする場合も、用意すべき証拠に違いはありません。
法律上において不貞行為とは、婚姻関係を結んだ相手以外の異性と性交渉を持つことだと定義されています。
ですので、夫が妻以外の女性と肉体関係に至ったことを証明するに足るだけの証拠を集めましょう。
もちろん、性交渉を目撃した現場の記録映像を用意できるのがベストですが、それはなかなかに難しいところ。
性行為現場の記録映像などの決定的な証拠の入手ができない場合は、以下のような状況証拠を固めていくことになります。
- 性交渉の現場やラブホテルを出入りする記録映像
- メールやlineでの性交渉を匂わせる内容のやり取り
- 愛人とホテルに宿泊したことを証明する領収書
- 夫婦の話し合いの場で不貞行為を自白した際の音声記録
このうち、一つ目の「性交渉の現場やラブホテルを出入りする記録映像」については、夫と不倫相手の双方に気取られないように尾行して撮影する必要があります。
こちらに関しては尾行のプロである探偵に任せてしまった方が失敗のリスクが少なくて済み、安心です。
3.夫が不貞行為をした場合の財産分与について
夫が不貞行為をした場合においても、夫は財産分与を受ける権利があります。
不貞行為を犯した場合のペナルティは基本的に慰謝料で賄われるものであって、財産分与との関連性は薄いものと認識するべきでしょう。
しかし、子どもがいる家庭において夫が不貞行為を働いた場合は、子どもの親権が妻側へと渡るケースがほとんどです。
この場合、子どもの分の財産分与を考慮に入れて算出される関係上、夫側の財産分与を受ける割合は減ることとなります。
正確な財産分与の割合については、子どもの人数など家族形態によっても変化します。
家庭によって事情が様々違うことから法律でどちらが何割だとハッキリ制定されているわけではありませんが、子ども1人の親権が妻へと渡るケースでは、夫の財産分与の割合は3割前後が相場だといわれています。
また、夫に慰謝料を支払うだけの経済力がない場合は、財産分与から慰謝料分を差し引くことが可能です。
4.夫が不貞行為をした場合の親権や養育費について
夫が不貞行為を働いたことが原因で離婚に至るケースでは、子どもの親権はほぼ確実に妻側へと渡ることとなります。
これは、よっぽどの事情…例えば、妻が子どもの受け入れを拒否していたり、子どもに対してヒステリックな暴力を日常的に働いているなどの特殊ケースでなければ覆らないでしょう。
そして、妻に子どもの親権が渡った場合、当然のことながら夫は子どもの養育費について支払う義務が発生します。
ただし例外として、通常では考えられないような法外な慰謝料を支払う場合はこの限りではありません。
このケースでよく見られがちなのは、芸能人やスポーツ選手の離婚騒動です。
TVのワイドショーなどで、不貞行為を働いた芸能人やスポーツ選手が、原告側へ数千万円から数億円にものぼる多額の慰謝料を支払ったという話は、よく耳にするニュースではないでしょうか。
数千万円や数億円ともなると、不貞行為の通常の慰謝料の相場(50万円から300万円)からは大きくかけ離れているため、この場合は養育費の支払いはナシと結論づくケースが多いです。
[uwaki]