浮気や不倫が発覚し離婚や慰謝料の請求をした際には、当事者間での示談で話がまとまり、解決することもありますが、示談での話し合いがこじれて決裂し、裁判へと発展するケースも多々あります。
もともと、浮気・離婚問題の慰謝料案件というジャンル自体が裁判へと発展しやすい性質を持っています。
いざ裁判となったときに冷静な対処を行うためにも、裁判の基本的な手続きや流れについて理解し心の準備をしておいた方が良いでしょう。
1.不貞行為の裁判の基本的な流れ
不貞行為の裁判に限らず、裁判を始めるにはまず、原告側が裁判所に訴状を提起する必要があります。
原告が裁判所に提出した訴状に問題がないと認められると、裁判所から改めて被告側に訴状が送られます。
以上を以って裁判が開廷するわけですが、裁判所から通達された第一回の裁判の期日において、被告側の都合が合わない場合は、答弁書を提出すれば被告側は欠席することも可能です。
そうなった場合は、原告側と被告側の双方の主張と立証は第二回の裁判期日以降に行われることとなります。
以降、基本的には原告側・被告側のいずれか一方が何らかの主張をすると、次回期日にもう一方が反論するという流れが繰り返されます。
しかし、じつは裁判が進行中であっても途中で和解が成立し、裁判の終了を待たずして和解決着という形になるケースはよくあります。
そして、裁判で原告側・被告側の双方の意見を戦わせても和解が成立せず、お互い徹底抗戦の状況が続いていくと、裁判所から尋問という手続きが実施されます。
この手続きは、原告側と被告側それぞれの主張する意見と事実関係が食い違っていて、裁判所としてもどちらの主張が正しいのか判断しかねる場合に行います。
原告・被告当人やその証人を尋問することで、発言の整合性や矛盾点を検証して最終的な判決へと導くためのプロセスとなっています。
尋問が終わって最後まで和解が成立しなかった場合、最終的な判決が言い渡されます。
判決時に裁判官が発表する内容は、
- 原告の訴えが認められない場合は「原告の請求を棄却する」
- 訴えの全部または一部が認められた際は「被告は○○(金額)を原告に支払え」
といったような、シンプルかつ明瞭な物言いで判決がくだされます。
不貞行為の裁判の基本的な流れは以上のとおりです。
案件ごとの事情によっても微妙に手続きなどの流れに違いが出てくることはあるので、都度、弁護士に確認を取ってから万全の体勢で裁判に臨むことをおすすめします。
また、スムーズに慰謝料を支払わせたい場合は、事前に証拠を集めておくといいです。
その時はプロである探偵に依頼をするのが、一般的になっています。
2.裁判の費用や期間はどのくらい掛かるのか?
裁判に掛かる費用は訴訟費用、弁護士費用に加えて、探偵・興信所を利用した場合はこちらの費用についても加算されます。
この内、訴訟費用については裁判に敗訴した方が全額負担という形になりますが、裁判の途中で和解が成立した場合は原告側、被告側の各々で負担することになっています。
弁護士費用については、各々の弁護士事務所が規定する費用によって差が生じます。
裁判の期間が長期化した際は100万円から150万円以上の費用が掛かるケースもしばしばあります。
100万円以上の弁護士費用に加えて、探偵や興信所を利用した際の費用の上積みまで入れると、裁判には勝ったが、判決がくだった慰謝料の額面よりも裁判費用の方が高くなってしまった…なんていうこともあるのです。
状況によっては、裁判の長期化を防ぐために、和解案を受け入れるという戦略も視野に入れておくことは重要でしょう。
裁判に掛かる期間についても案件により差異は出てきますが、裁判の期日は1ヶ月から2ヶ月程度の間隔で行われることから、原告・被告双方の意見が出尽くして判決に至るまでは、ある程度の期間が必要とされます。
不貞行為の裁判の過去の判例では、4ヶ月から6ヶ月程度で決着がついた判例が多いです。
もちろん、裁判の途中で和解が成立した場合は、これよりも早期に決着することとなります。
3.どんな不貞行為の証拠や証人がいればいいのか?
浮気・不倫問題の裁判でもっとも必要とされる証拠は、不貞行為を証明する証拠、つまりは配偶者とその愛人に肉体関係があったことを裏付けるだけの証拠です。
実際に性交渉があった現場の記録映像でもあれば理想的ですが、そのような決定的な証拠を掴むのはなかなか難しいです。
小さな状況証拠(メールやlineのやり取り、ホテル宿泊の領収書など他多数)をひとつずつ積み重ねていくことが基本となるでしょう。
また、浮気現場を目撃した第三者や浮気を白状したり、それに類する話し合いの席に同席した第三者などがいれば、積極的に裁判の証人として召還してもらいましょう。
証言をしてもらうと裁判を有利に進めることができます。
この第三者の中には、浮気現場を調査を依頼した探偵も目撃証人者として含まれますから、そういう意味で探偵を雇い入れることは、証拠を掴むことと証人としての役割を同時にこなしてくれる有用な存在だといえます。
4.不貞行為に時効はあるのか?
不貞行為の時効は発覚してから3年となっており、3年を過ぎると慰謝料を請求することができなくなります。
ただ、最後に不貞行為を働いたのが3年前だという正確な期間を知らなかった、知らされていなかったなどを理由に慰謝料を請求できるケースもあります。
[rikon]