親権者になれなかったとしたら、面会交流権という制度を利用し、なるべく多い頻度で子供と会いたいと思うものです。
しかし、親権者となった側としては、離婚するぐらいの相手とあまり子供を会わせたくないという考えの人も少なくありません。
そんなときに、どのように面会についての話を進めればうまくいくのでしょうか。
1.離婚後の子供との面会の交渉の仕方について
父親のことも母親のことも子供が大好きな場合の離婚は、夫婦双方だけでなく子供にとっても辛い経験となります。
両親が離婚したのは自分が悪い子だから・・・などと自分のせいにしたり、自分は愛されてない・・・と、自分に自信が持てない子になってしまうことさえあります。
ですから、親権者となった側が元配偶者に会わせたくないと思っていても、子供にとっては必要な場合もあるのです。
両親から愛されているという意識を高めることは、子供の健全な育成に繋がりますから、子供の幸せを優先して面会交流権のことを考えるべきです。
まずは、夫婦が二人での話し合いで、面会交流の具体的なことを決めていきます。
夫婦二人での協議で、お互いの考えが合わず、決められなかった場合は、離婚調停を申し立てることになりますが、それでもまとまらなかった場合は審判になり、裁判官に面会交流の内容を判断してもらうことになります。
面会交流権とは、親権者にも監護者にもならなかった親の権利ですが、その親と面会することが子供の福祉には合致しないと裁判官が判断した場合は、面会交流が認められないことがあります。
子供が15歳以上になっている場合や、15歳に達していなくても親権者に影響されず自分の意見を述べることができるようであれば、裁判官は子供本人の意見を重要視する傾向となっています。
また、離婚の原因が暴力などの場合は、子供が強い恐怖心を抱いている可能性もあるため、そのような親との面会交流は認められない場合があります。
2.離婚後の子供との面会の条件は?
その際、決めておくこととして、
- 子供と面会する頻度
- 1回の面会の時間
- 宿泊の可否
- 面会の場所
- 電話やメールのやり取りの可否
- 子供の受け渡し方法
- 学校行事への参加の可否
- 誕生日などのプレゼントの可否
- 面会時の連絡について
以上のことを交渉して決めたなら、公正証書にしておくようにします。
口約束だけだと、「会わせるなんて言ってない」と言われ、会わせてもらえなかったり、面会する回数は月1回と決めたのに、毎週会いたいと連絡が来たりしても困るからです。
親権喪失事由(著しい不行跡)があって、親権者として失格とみなされた場合や、支払い能力があるのにもかかわらず、養育費を支払おうとしない場合は子供に対する愛情が感じられないと判断されますし、子供や親権者や監護者に暴力を振るったり、その他の悪影響を及ぼす場合などは面会交流権を制限されることがあります。
3.離婚後の面会の権利はいつまで続く?
いつまで面会交流をするか・・・親権者でないほうの親であれば、子供が大きくなって養育される必要がなくなり、自由に会えるようになるまで面会交流を続けたいと思うのは普通のことでしょう。
一方で、親権者となった親が、なるべく会わせたくないと考えている場合や、子供自身が会いたくないという場合もあると思います。
しかし、面会交流権についても公正証書に記載し、「子供が高校を卒業するまで」という期間も織り込まれているなら、やはり面会交流はさせなければなりません。
会わせないことで訴訟を起こされると、○ヶ月に一度は面会交流させること、それが守られなければ1回履行を怠るごとに○○円の罰金というような判決が出されてしまいます。
子供が小さいうちは定期的に会わせることも可能だと思われますが、ある程度大きくなって部活が忙しくなったり、自分の予定ができるようになってくると、面会交流で時間を取られるのを嫌がるようになるかもしれません。
その場合は、面会交流権の内容を変更したいという申立てを家庭裁判所にすることができます。
その際、子供が15歳以上、もしくは自分の意見をしっかりと述べることができる年齢に達していれば、子供の意見を聞かれ、それが尊重されることになります。
親同士の「会いたい」「会わせたくない」ではなく、子供への影響を考慮して面会交流権を行うようにしましょう。