普段生活している分にはそれほど頻繁に関係してこない「戸籍」ですが、離婚するとなると、とても重要なものとなります。
「戸籍」とは、戸と呼ばれる家族集団単位で国民を登録する目的で作成される公文書で、その人の身分関係を証明するものとなります。
誰と誰が夫婦で、誰が誰の子供で・・・というようなことが記載してあり、人が送ってきた過去のことが順番にわかるようになっています。
戸籍の中の「筆頭者」とは、その戸籍の一番上に書かれている人のことですが、同じ戸籍にいる人は、筆頭者と同じ姓を名乗ることになっています。
ですから、結婚して夫の姓になる場合は夫が筆頭者に、妻の姓になる場合は妻が筆頭者となるわけです。
現在は電子化されて横書きになっているため、離婚をすると「除籍」と記載されるだけとなっていますが、昔、縦書きの戸籍が用いられていたときには、離婚すると筆頭者以外の離婚当事者の名前にバツ印がつけられたため、「バツイチ」という言い方をするようになったとのことです。
1.離婚時の戸籍の手続き方法
離婚届の中に「婚姻前の氏に戻る者の本籍」という欄があり、夫か妻の欄にチェックをし、さらに「もとの戸籍に戻る」か「新しい戸籍を作る」のどちらかにチェックをします。
子供がいて、妻(子供の母親)と一緒の戸籍にする場合は、妻の親の戸籍には子供が入ることはできないため、旧姓に戻るにしても妻が筆頭者となって新しい戸籍を作る必要があります。
また、もとの戸籍の全員が死亡している場合や抜けてしまっている場合などは除籍されてなくなっているので、その場合は新しい戸籍を作ることになります。
2.そのままにするとどうなる?
子供がいる場合、離婚してそのままにすると子供は夫の戸籍のままになります。
そのままにしておきたくないという場合は、「子の氏の変更許可申立書」を子供の住所地の家庭裁判所に提出します。
その後、家庭裁判所から「審判書」というものを受け取ります。
その「審判書」を持って、市区町村役場へ行き、子供の「入籍届」を提出します。
子供が15歳未満の場合は、子供本人に代わって、親権者が申立人となって手続きをしますが、15歳になっていれば、子供本人が申立人となって手続きします。
子供が結婚していたり、20歳を超えている場合は届出の必要はなくなります。
3.戸籍の履歴は残る?残らない?
再婚をする際などに、離婚歴があることを隠しておきたいという方は多くいらっしゃると思います。
または、戸籍謄本を使用する機会があった場合に、結婚していたことや離婚したことを目にしたくないという複雑な思いを抱えておられる方もいらっしゃることでしょう。
実際、離婚歴は隠しておけるものなのでしょうか?
簡単に言うと、離婚歴を隠すことはできますが、履歴としては残ります。
本籍を他の市区町村に転籍することで、新しい本籍地の戸籍簿には離婚歴が引き継がれることはありません。
また、一旦親の戸籍に入って分籍することでも、戸籍は新しくなり、離婚歴は記載されなくなります。
本籍地は日本全国どこでも好きなところを選ぶことができ、回数にも制限はありませんが、その人が死亡したときに、相続などに関連して、遺族は亡くなった人の生まれてから死亡するまでの戸籍が必要となります。
その場合、本籍地がある市区町村役場に行くか、郵送してもらうかしなければならないため、何度も転籍をしていると、その分の除籍謄本も必要となるわけです。
話は少し逸れましたが、転籍して新しい戸籍を作った場合、新しい戸籍謄本には結婚歴も離婚歴も記載されないのですが、除籍謄本には結婚と離婚の記録が記載されますから、完全に隠すことはできないと言えます。
何度転籍したとしても、人の戸籍は80年間保存されることになっていますから、除籍という前の戸籍を辿ることによってはわかってしまうのです。