配偶者がパチンコ依存症の場合、あなたは一緒に添い遂げますか?
それとも、見切りをつけて離婚するでしょうか?
今回のテーマは「配偶者がパチンコをする場合」ではなく「パチンコ依存症の場合」です。
依存症とは、それがないと生きていけない状態のことで、精神に作用する化学物質の摂取や、ある種の快感や高揚感を伴う特定の行為を繰り返し行った結果、それらの刺激を求める抑えがたい欲求である渇望が生じ、その刺激を追い求める行動が優位となり、その刺激がないと不快な精神的、身体的症状を生じる状態です。
依存症にまでなってしまうと、そこから抜け出すのは本当に大変なことらしく、配偶者と「もうしない」と約束をしても、すぐに約束を破り、またパチンコをすることが多く、失敗する人がほとんどのようです。
何度も何度も約束を破られたら、相手への信頼もなくなりますし、尊敬の気持ちも愛情もどんどん減って行きます。
そのような相手と今後幸せな将来を築いて行けるでしょうか。
1.パチンコ依存症を理由に離婚できる?
パチンコ依存症というだけでは、離婚の理由とはならないのですが、それによって生活に影響があれば高い確率で離婚することができるようです。
夫がパチンコ依存症の場合を考えてみますと、まず、仕事もしないでパチンコをしているぐらいであれば、悪意の遺棄となります。
健康であるのに仕事に就かず生活費を渡さないというのは、慰謝料を請求できる離婚原因です。
次に、仕事はしているが、給料の多くをパチンコにつぎ込み、妻の貯金や子供のお年玉や貯金などにも手をつけたり、給料では足りなくなって借金をしている場合も悪意の遺棄に該当しますので、正当な離婚理由となります。
では、妻がパチンコ依存症の場合はどうでしょうか。
専業主婦で仕事をしていないのに家事が疎かになるほどパチンコに行っている場合や、生活費をパチンコで使いきってしまうとか、それでも足りなくて借金してまでパチンコをするような依存症であれば、高い確率で離婚できると思われますし、子供がいる場合には、パチンコ依存症で正常な判断ができないと見られ、子供の食事の用意や世話も十分にできないと判断されると、親権者になることも難しくなる場合があるでしょう。
2.パチンコで借金があるけれど慰謝料や養育費は請求できる?
パチンコ依存症に対しての慰謝料というのは取れないのですが、上記で挙げたように悪意の遺棄での慰謝料請求は可能です。
ただし、慰謝料の金額は借金の額や年数や年齢、子供の有無や子供の数や年齢などによってのケースバイケースとなるため、専門家に相談されることをおすすめします。
養育費も借金があるからといって免除されるものではなく、親であるなら自分の生活費を削ってでも支払う義務のあるものですから、遠慮なく請求しましょう。
相手が仕事に就いていて、給料をもらう立場であるのであれば、養育費の支払いが滞った場合に、給料の二分の一までは強制的に差し押さえることができるよう「強制執行認諾約款付公正証書」を公正役場で作成し、備えておきましょう。
そうすることによって、パチンコ依存症の相手が、給料の大部分をパチンコにつぎ込んでしまう前に、子供ために確保することができるようになります。
ちなみに、夫婦であれば相互扶助義務があり、離婚する際にはマイナスの財産であっても分与し、二人で返済することになっていますが、配偶者がパチンコのために作った借金は、生活を営むために生じた借金ではないため、財産分与の対象とはならず、借金をした本人が責任を持って返済することになります。
しかし、少しでもプラスに持っていけるよう、離婚前に債務整理をしておくと良いかもしれません。