多くの人にとって、お金は重要な位置を占めています。
収入が多く不自由のない暮らしができていれば、ある程度のことには目をつぶれて、離婚にならなかったかもしれません。
離婚になったとしても、離婚後の生活に十分なお金がもらえれば不安を抱くことなく離婚できるでしょう。
しかし、相手に借金があったら?
賭け事だったり、事業のための借金、保証人になって負ってしまった借金、住宅ローンや車のローンなど、借金の種類も様々ですが、その場合の離婚はどうなるのでしょうか。
1.離婚した場合の借金の財産分与について
プラスの財産と同じで、マイナスの財産も分与することになります。
夫婦生活を送っていくうえで発生した借金は、夫婦二人で協力して返済する義務があります。
住宅ローンや家具家電のローン、生活費のための借金などが含まれます。
一方で、夫または妻が自分自身のために個人的に借金をした場合は、本人が返済することになっています。
ギャンブルや飲み歩くための借金など、一方的に配偶者に内緒で作った借金は財産分与の対象とはなりません。
大きな金額の住宅ローンですが、ローンの残債を分与しあって、離婚後も支払っていくというのは大変なことです。
ですから、その家に住み続けるほうが払っていくことにしたり、妻と子供が住んで、夫が払い続けていくというケースもあるようですが、夫がローンを払わなくなったときに妻が連帯保証人になっていると、妻が支払わなければいけなくなるという不安があります。
その場合は、住宅を売ってしまうという選択をする夫婦もいます。
その場合、ローンの残債を上回る金額で売れれば問題はないのですが、そのような物件は少なく、ほとんどの場合は、ローンの残りより少ない見積もりが出されるため、普通に売ることはできなくなります。
そのときは任意売却という方法をとることになるかもしれませんので、任意売却に詳しい不動産会社か専門家に相談されることをおすすめします。
2.借金がある場合、生活費を請求できる?
別居中の生活費を婚姻費用と言いますが、一般的には相手の年収の額で計算されますから、相手に借金があったとしてもそれほど影響はありません。
ただし、生活のための借金だったりすれば減額してはどうかと調停委員から打診されたりするかもしれません。
しかし基本的に、生活する上で絶対に必要な費用であれば、借金に関係なく請求することができます。
3.養育費や慰謝料をもらうことはできる?
養育費は、子供が健やかに生活を営むための権利ですから、親は自分の生活の質を落としてでも子供に対する責任を果たさなければなりません。
相手が給料をもらっている会社員であれば、「強制執行認諾約款付公正証書」を作成しておき、養育費の支払いが滞った場合に、強制的に給料の保険料を差し引いた二分の一までを差し押さえることができるようにしておきましょう。
さらに、夫が破産手続きをしても、離婚の際に決めた養育費の支払いを免れることはできません。
慰謝料も、相手から精神的苦痛を受けた場合に請求できる損害賠償ですから、相手に借金があっても請求することはできます。
しかし、仕事もしておらず、貯金もなく、何の財産も持っていない場合は、差し押さえることもできませんので、実際は請求しても払ってもらえないことが多いようです。
4.相手に借金がある場合は親権を取りやすい?
借金で生活が追い詰められていて、子供を落ち着いて養育できない状況であれば、親権を取ることは難しくなるかもしれませんが、余程の借金でない限りは、これまで子供を監護してきた事実や子供がどれだけ慕っているかなどですので、借金があるから親権者にはなれないとは言えません。