「うつ病」という病気についての認識が広がってきた近年、日本では100人に3~7人の割合でうつ病を経験した人がいるそうで、さらにこの先もうつ病の人は増えていく傾向にあるといえます。
実際、うつ病とはどのような病気なのでしょうか。
眠れない、食欲がない、一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しくない、何にも興味が持てない、疲れているのに眠れないまたは一日中眠い、イライラして落ち着かない、自分には価値がないように感じる、自分を責めてしまう、思考力が落ちる、死にたくなる、このような症状のいくつかがほぼ一日中感じられる状態が2週間以上続くようであればうつ病の可能性があります。
また、体に出る症状としては、食欲がない、体がだるい、疲れやすい、性欲がない、頭痛や肩こり、動悸やめまい、胃の不快感、便秘、口が渇く、などのサインが出ることもあります。
うつ病などの精神疾患に関しては、治療を行ってある程度のレベルまで回復することを、「完治」ではなく「寛解」と呼びます。
一見、治っているように見えても、再発する可能性がありますし、治ったとする状態も明確な線引きが出来ないため、ほぼ良くなった回復状態にあることに対し「寛解」という言葉が用いられます。
うつ病と診断された人のうち、寛解に至るまで回復するのは、全体の約7割で、残りの3割の方は、難治性のうつ病ということになります。
しかも、寛解までは治療開始から6~12週間ぐらいで効果が現れるのですが、寛解した後も、3ヶ月~6ヶ月は治療を継続します。
その後、症状の安定が見られれば、少しずつ薬を減らしていき、再発を予防するための継続治療を行いますので、服薬が終了するまでの治療はかなり長期間に渡るようです。
中には、寛解したと医師に言われても、自分では良くなっていないと感じる方もおられるそうで、本人にしかわからない苦しみもあるのでしょう。
一方で、うつ病になってしまった配偶者を支えて、なんとか良くなるよう世話していた側も、治療が長期間に及び、浮かない顔をした配偶者のそばにずっといると、自分も疲れてしまったり、憂うつな気分になってしまうことさえあると思います。
うつ病が思うように良くならない相手にイライラすることもあるでしょうし、逆に相手がイライラして、あなたにあたる事もあるかもしれません。
うつ病だから・・・と気を使って接することに疲れ果ててしまうかもしれません。
そのような場合に、離婚したいという考えが頭を過ぎったら、どのようなことを考えればよいのでしょうか。
1.うつ病の夫・妻と一方的に離婚はできる?
どのような場合でも、二人の合意さえあれば、離婚することはできます。
しかし、うつ病の配偶者が離婚を拒否する場合は、離婚調停になり、それでも決まらなければ裁判離婚となります。
裁判離婚の際は、「重度の精神病で回復の見込みがないこと」というのが正当な理由として認められますが、裁判所では、病気になったのは本人の責任ではなく、離婚の責任すべてを病人に負わせるのは酷であるという考えで、病人に有利な判断をされることもあるようです。
精神病を理由とした離婚が認められるには、数年治療してきたが、回復の見込みがないとの診断を医師にしてもらったり、離婚後のうつ病の相手の生活をある程度補償するという提案をしたりすることで、できるかもしれません。
2.うつ病の人との離婚率は?
夫婦のどちらかがうつ病の場合の離婚率はは高くなるそうで、どちらもうつ病でない夫婦の離婚の3倍近くが離婚するというデータもあるようです。
さらに、妻がうつ病になった場合よりも、夫がうつ病になった場合のほうが、離婚する割合は多いと言われています。
3.相手がうつ病の場合親権はもらえる?
では、相手がうつ病であれば、親権は当然もらえるのでしょうか。
日常生活を通常に営むことが難しいほどの場合は、子供の養育も難しいと判断され親権者にはなれないと思われます。
しかし、普通に生活でき、子供の世話もできるような状態であれば、うつ病であっても親権者になることができます。
特に子供が小さい場合は、母親である妻のほうがうつ病を患っていたとしても、親権者となる確率は高くなります。
夫が原因でうつ病になったのであれば、夫と離れることによってうつ病の症状も良くなることがあるからです。
4.うつ病で離婚する場合、慰謝料や養育費はどうなる?
夫がうつ病の場合、常日頃から暴力を受けていたとか、浮気をしていて証拠があれば、慰謝料を請求することも可能ですし、養育費も請求できます。
仕事に就いていなければ、金額が少なくなることもあるでしょう。
妻の場合も同じですが、うつ病になった原因によっては、逆に慰謝料を請求されることもあるかもしれません。