「和解」という言葉を聞くと、仲直りというイメージを持たれている方も多いと思いますが、離婚における「和解」は少し違う意味合いで用いられます。
法律上、争っている当事者が譲歩し合って争いをやめる約束をすることが、和解を意味します。
離婚そのものをなかったものとし、やり直すことも和解に入りますが、離婚することは決定しており、お互いが条件の面で折り合いがつかず揉めている場合に、譲歩しあって条件を変更することです。
その場合、どのようなことに気をつければよいのでしょうか。
1.離婚における和解の意味とは?和解調書の内容とは?
上にも記したとおり、離婚すること自体が覆ることはないが、離婚条件や慰謝料などの点で、徹底的に争おうとすると、かなり時間がかかりますし、裁判が長引けば精神的にも相当疲弊するので、様々な面で負担が大きくなってくることでしょう。
それで、何が何でも判決を出すというのではなく、裁判の途中であっても、譲歩しあって和解勧告に応じるという選択肢も考慮に入れることができます。
それは、裁判官が和解勧告という形で勧めて来ることが多いでしょう。
それで、お互いが納得し同意すれば和解が成立します。
その際、裁判所は「和解調書」と言うものを作成します。
和解調書は判決と同程度の効力を持っており、慰謝料や養育費などの合意事項が記載されることになります。
もし、支払いが滞った場合は、強制的な取立てを申し立てることが可能です。
2.離婚の和解金の相場は?
明確な和解金というものは特にないようです。
しかしながら、不貞行為があったり暴力やモラハラがあった場合に慰謝料は請求できますし、裁判になれば多少減額されるとしても有責でない配偶者のほうは慰謝料を手にすることができます。
慰謝料に関してはだいたいの相場があり、結婚年数や不貞行為の数や暴力の程度や頻度や子供の有無などで金額は変わってきます。
では、どちらも有責配偶者ではなく、性格の不一致で離婚を考えている場合はどうでしょうか。
一方はどうしても離婚したい、一方は離婚したくないという場合に、「○○○円払ったら離婚してもいい」というように高額な金額を指定されるかもしれません。
それでも離婚の意思が変わらず、支払い能力があるのであれば、解決金として支払うこともできます。
もしくは、和解調書の項目に慰謝料と記載されてしまうと、いかにも罪を犯した感じがしますが、解決金という項目であれば、罪の意識も薄らぐのかもしれません。
もらう側は、お金が間違いなくもらえるのであれば、項目にはこだわらないという人も意外と多く、最近では解決金という言葉が多く使われています。
ただし、後から払った払われてないと言ったトラブルを防ぐために、慰謝料や養育費や婚姻費用などと、項目はしっかり記載しておくという人も多いです。
3.和解してから離婚届を出す?
和解調書には法的な効力があるとはいえ、離婚届の提出は必要となります。
和解離婚の場合は、離婚成立から10日以内に、夫婦の本籍地か、夫か妻の住所地の役場に「離婚届」と「和解調書の謄本」を提出する必要があります。
4.無効になるケースは?
和解契約において、慰謝料は請求しない、慰謝料を請求する権利は存在しないと認めた場合、この権利は和解によって消滅したと考えられるため、後からは請求できないことになっています。
しかしもし、和解したときにはわからなかった夫の不貞行為などが後日明らかになり、それについての慰謝料を請求したいという場合はどうでしょうか。
基本的には争いを解決するための和解であるため、後日、錯誤無効の主張はできないようになっています。
しかし、和解の前提として、不貞行為があったことが問題にされていないのであれば、錯誤無効の主張が認められる可能性があります。